定員超過利用減算と人員欠如減算は、事業所の基本報酬そのものを3割、あるいは5割削る減算です。加算は取れなければ収入が増えないだけですが、この2つは利用したお子さん全員の基本報酬にかかります。この記事では、定員超過利用減算の算定要件(どんな利用実績で減算になるか)と、人員欠如減算の対象職種・減算割合を、対象サービスとあわせて整理します。
この記事は令和8年度(2026年6月施行の改定を反映、2026年11月時点)の告示・通知に基づいています。
2つの減算の全体像
| 定員超過利用減算 | 人員欠如減算(児童指導員・保育士) | 人員欠如減算(児童発達支援管理責任者) | |
|---|---|---|---|
| 減算の割合 | 所定単位数の100分の70 | 3か月未満は100分の70、連続3か月以上は100分の50 | 5か月未満は100分の70、連続5か月以上は100分の50 |
| 判定の単位 | 1日ごと、または過去3か月 | 月ごと | 月ごと |
| 減算の対象 | 障害児全員 | 障害児全員 | 障害児全員 |
報酬告示は「別にこども家庭庁長官が定める基準に該当する場合」に「別にこども家庭庁長官が定める割合」を乗じると定め、具体の基準と割合は留意事項通知で示されています。
減算の分母は「加算前の所定単位数」
どちらの減算も、掛ける対象は各種加算を足す前の所定単位数、つまり基本報酬です。留意事項通知は、各種加算を含めた合計の100分の70になるわけではないと明記しています。加算を含めた請求額全体に70%を掛ける計算は誤りです。
対象サービスの違い
2つの減算は、対象になるサービスが少しずつ違います。
| サービス | 定員超過利用減算 | 人員欠如減算 |
|---|---|---|
| 児童発達支援 | 対象 | 対象(児童発達支援センター、主として重症心身障害児を通わせる事業所を除く) |
| 放課後等デイサービス | 対象 | 対象(主として重症心身障害児を通わせる事業所を除く) |
| 共生型障害児通所支援 | 対象 | 通知の対象サービスに記載なし |
| 基準該当通所支援 | 対象 | 対象(みなし基準該当を除く) |
| 居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援 | 対象外 | 児童発達支援管理責任者の欠如のみ対象 |
障害児入所支援も定員超過利用減算の対象ですが、判定基準(1日110%、過去3か月105%)が通所と異なるため、この記事では扱いません。
定員超過利用減算の算定要件
判定は「1日当たり」と「過去3か月間」の2通りです。どちらかに当てはまれば減算になります。複数のサービス提供単位を置いている場合は、単位ごとの定員と人数で判定します。
判定1:1日当たりの利用実績
| 利用定員 | 減算になる1日の障害児数 |
|---|---|
| 50人以下 | 利用定員×150%を超える |
| 51人以上 | 利用定員+(利用定員−50)×25%+25を超える |
当てはまった日は、その日に利用した障害児全員の基本報酬が100分の70になります。定員10人なら上限は15人で、16人を受け入れた日は16人全員が減算です。
判定2:過去3か月間の利用実績
直近の過去3か月間の延べ利用者数が、利用定員×開所日数×125%を超えた場合、当該1か月間について障害児全員が減算になります。通知の例では、定員30人・1か月22日開所なら、30×22×3=1,980人、その125%で2,475人が受入れの上限です。
定員11人以下の事業所は式が変わります。上限は「(利用定員+3)×開所日数」で、125%ではありません。定員10人で3か月の開所日数が66日なら、13×66=858人を超えると減算です。
多機能型事業所でサービスごとに利用定員を定めている場合は、サービスごとに上限を計算します。
数に含めなくてよい障害児と端数
- 災害等やむを得ない事由により受け入れた障害児は、人数の算定から除くことができます。どこまでが「やむを得ない事由」に当たるかは通知に例示がないため、該当しそうなときは受入れの経緯を記録し、指定権者に確認してください
- 人数の計算で小数点以下の端数が出たときは、切り上げます
減算の対象にならない範囲の定員超過でも、処遇に十分配慮するよう通知は求めています。減算の対象となる定員超過が続き、都道府県知事等の指導にも従わない場合は、指定の取消しが検討されます。
人員欠如減算の算定要件
前提となる人員基準
児童発達支援センター以外の児童発達支援事業所と放課後等デイサービスでは、人員基準(基準省令第5条・第66条)で次の配置が求められます。
- 児童指導員または保育士:支援の単位ごとに、提供時間帯を通じて専ら従事する人数の合計が、障害児10人までは2以上。10人を超えると、5人またはその端数ごとに1を加えた数以上(11〜15人で3以上、16〜20人で4以上)
- 児童発達支援管理責任者:1以上
- 児童指導員または保育士のうち1人以上は常勤。児童発達支援管理責任者のうち1人以上は専任かつ常勤
人数がそろっていても、常勤・専従などの要件を欠けば人員欠如に当たります。
職種で減算割合の区切りが違う
- 児童指導員・保育士の欠如:減算が適用される月から3か月未満は100分の70、連続3か月以上は100分の50
- 児童発達支援管理責任者の欠如:5か月未満は100分の70、連続5か月以上は100分の50
減算がいつから始まり、いつ終わるかは、欠如の程度(必要員数から1割を超えて減ったか、1割以内か)や職種で変わります。令和8年6月の算定分からは、やむを得ない事情による1割以内の欠如に、1年に1回の猶予を設ける特例も加わりました。
また、児童発達支援管理責任者が欠如している間は、専門的支援実施加算も算定できません(令和6年度Q&A VOL.4 問1)。基本報酬の減算に加えて、加算の収入も落ちることになります。
複数の減算が重なったとき
原則は、それぞれの減算割合を掛け合わせます。ただし、定員超過と人員欠如の両方に当たる場合だけは、減算となる単位数が大きい方のみを適用します。
- 定員超過(100分の70)と人員欠如(100分の50)→ 100分の50
- 定員超過(100分の70)と人員欠如(100分の70)→ 100分の70
この例外は、定員超過と人員欠如の組み合わせに限られます。たとえば人員欠如(100分の70)と通所支援計画(放課後等デイサービス計画など)の未作成減算(100分の70)が重なれば、掛け合わせて約100分の49です。
計算例:放課後等デイサービスの場合
放課後等デイサービス(時間区分1、医療的ケア区分に該当しない児、定員10人以下)の基本報酬は574単位です。減算がかかると、1日あたり次のようになります。単位数は割合を掛けるたびに小数点以下を四捨五入します。
- 100分の70:574×0.7=401.8 → 402単位
- 100分の50:574×0.5=287単位
延べ198人日(定員10人・月22日・利用率90%と仮定)、1単位10円で計算すると、基本報酬は月約113.6万円です。100分の70なら月約34.1万円、100分の50なら月約56.8万円が減ります。加算は減算されませんが、基本報酬の目減りだけでこの規模です。
1単位の単価は地域区分で変わり、10円から、上限はサービスにより11.20〜11.52円です。
この試算は既存の事業所を前提にしています。令和8年6月1日以降に新規指定を受けた放課後等デイサービスは、配慮措置の対象となる場合を除き、基本報酬が所定単位数の1000分の982になります(児童発達支援は1000分の988)。この特例と減算が重なったときの計算の順序は通知に定めがないため、該当する事業所は指定権者に確認してください。
よくある間違い4つ
- 加算を含めた合計に減算割合を掛けている。 掛けるのは基本報酬だけです
- 1日の判定しか見ていない。 過去3か月の延べ人数も毎月確認します
- 定員11人以下なのに125%の式で計算している。 正しくは(定員+3)×開所日数です
- 人数だけで判断している。 常勤・専従の要件を欠いても人員欠如になります
まとめ
- どちらの減算も、加算前の基本報酬に割合を掛け、原則として障害児全員が対象
- 定員超過は「1日150%」と「過去3か月125%(定員11人以下は定員+3)」の2つの物差しで判定
- 人員欠如は職種で区切りが違い、児童指導員・保育士は3か月、児童発達支援管理責任者は5か月で100分の50に下がる
- 定員超過と人員欠如が重なれば大きい方のみ。それ以外の減算とは掛け合わせ
やむを得ない受入れの判断、人員の数え方、新規指定事業所での計算方法など、運用が分かれる点は事前に所管の指定権者へご確認ください。