送迎加算は、お子さんの居宅などと事業所との間の送迎を評価する加算です。多くの事業所が毎日算定する身近な加算ですが、令和6年度改定で重症心身障害児・医療的ケア児の区分が整理され、同一敷地内の減額や「算定できないケース」も含めると、確認する点は少なくありません。
この記事では、区分の構造・単位数・同乗職員の要件・よくある間違いを順に整理します。
この加算の概要
- 対象は児童発達支援と放課後等デイサービス(共生型を含む)です。居宅訪問型児童発達支援と保育所等訪問支援は、支援者が出向くサービスなので、この加算はありません
- 算定単位は片道につき。行きと帰りの両方を送迎すれば、1日に2回分を算定できます
- 基本となる区分イは54単位です
- 重症心身障害児や医療的ケア児の送迎は、職員の同乗などの体制を整えたうえで、より高い単位数で評価されます
区分イと区分ロ
| 区分イ | 区分ロ | |
|---|---|---|
| 算定する事業所 | 通常の児童発達支援事業所・放課後等デイサービス事業所 | 児童発達支援センター、主として重症心身障害児を通わせる事業所 |
| 対象のお子さん | すべての障害児 | 重症心身障害児・医療的ケア児のみ |
| 単位数(片道) | 基本54単位+上乗せ(40または80) | 40単位または80単位 |
区分ロの事業所では、重症心身障害児・医療的ケア児以外のお子さんの送迎は、加算の対象になりません。まず、自事業所がどちらの区分に当たるかを確認してください。
単位数(片道につき)
| 送迎したお子さん | 区分イ | 区分ロ |
|---|---|---|
| すべての障害児(基本) | 54 | ― |
| 重症心身障害児・医療的ケア児 | 54+40 | 40 |
| 中重度の医療的ケア児(医療的ケアスコア16点以上) | 54+80 | 80 |
- 40単位と80単位の上乗せは、どちらか一方のみです
- 令和6年度改定で、医療的ケア児の上乗せが旧37単位から40単位に引き上げられ、医療的ケア区分の基本報酬を算定していない事業所でも算定できるようになりました。80単位の中重度区分もこのとき新設されています
重症心身障害児・医療的ケア児の上乗せに必要な体制
上乗せの区分を算定するには、運転手に加えて職員が同乗する必要があります。同乗する職員は区分によって異なります。
- 重症心身障害児:基準により置くべき従業者のうち、直接支援業務に従事する職員を1人以上
- 医療的ケア児:看護職員。喀痰吸引などのみが必要なお子さんだけの送迎であれば、認定特定行為業務従事者でもかまいません
- 中重度の医療的ケア児(スコア16点以上):看護職員の同乗に加え、医療濃度を踏まえた安全な送迎体制
重症心身障害児であり、かつ医療的ケア児でもあるお子さんは、医療的ケア児として算定します。看護師が付き添っても、両方の区分を足して80単位とすることはできず、医療的ケア児の区分の40単位のみです(Q&A VOL.1 問22)。医療濃度の高いお子さんであれば、中重度区分の80単位を算定できます。
送迎の範囲
- 基本は、お子さんの居宅などと事業所との間の送迎です
- 放課後等デイサービスでは、通学している学校と事業所との間も対象です。学校は、学校教育法第1条に規定する学校のうち幼稚園と大学を除いたもの、専修学校、各種学校です
- 事業所の最寄駅や集合場所までの送迎も算定できます。ただし、事前に保護者の同意を得たうえで、特定の場所を定めておく必要があります。日によって場所を変える運用は認められません
- 放課後等デイサービスの送迎は、道路の安全性、お子さんの年齢や能力、公共交通機関の有無など地域の実情を考慮して判断し、自分で通所できる力の獲得を妨げないよう配慮することとされています
同一敷地内・隣接地の送迎は100分の70
事業所と同じ敷地内、または隣接する敷地内の建物との間で送迎した場合は、所定単位数の100分の70で算定します。
計算の順序に注意が必要です。上乗せがある場合は、上乗せをした後の合計に100分の70を掛けます。54単位に40単位を上乗せするなら、合計94単位の100分の70です。同じ敷地に学校や保育所が併設されている事業所は、請求前に該当の有無を確認してください。
届出と記録
- 区分イの基本54単位は、告示に届出の定めがなく、送迎の実績に応じて算定します
- 上乗せ(40単位・80単位)と区分ロは、都道府県知事への届出が要件です。届出をしていなければ、要件を満たす送迎をしていても算定できません
- 届出が毎月15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定を始められます。同乗の体制を満たさなくなったときは、速やかに届け出てください
- 重症心身障害児・医療的ケア児に当たるかどうかは、市町村の判定が前提です。スコア16点以上であることは、受給者証に記載されるまでの間、主治医が判定したスコアを確認できる書類を事業所で確認・保管していれば差し支えないとされています(Q&A VOL.3 問7)
- 送迎した日付、区間、片道の回数、上乗せを算定した日の同乗職員を記録しておくと、算定の根拠を説明しやすくなります(記録の様式は一次資料に定めがありません)
よくある間違い5つ
- お子さん本人が乗っていない移動を算定している。 告示は「障害児に対して」送迎を行った場合と定めています
- 保護者が送迎した日に算定している。 事業所が行う送迎を評価する加算です
- 看護職員等が同乗していないのに、医療的ケア児の区分を算定している。 同乗しない場合は医療的ケア児の区分は算定できず、基本の54単位のみです(Q&A VOL.1 問23)
- 送迎の時間を、基本報酬の支援提供時間に含めている。 送迎時間は提供時間に含まれません(Q&A VOL.1 問2)
- 同一敷地内・隣接地の送迎を満額で算定している。 100分の70の減額を忘れないようにします
事例で確認
事例1 放課後等デイサービスが学校へ迎えに行き、支援の後に自宅へ送った。 → 学校から事業所、事業所から自宅のそれぞれが片道に当たり、54単位を2回分算定できます。
事例2 お子さんが欠席した日に、きょうだいを乗せて自宅へ教材を届けた。 → お子さん本人の送迎ではないため、算定できません。
事例3 医療的ケア児の上乗せを届け出ている事業所が、看護職員を同乗させて医療的ケア児を自宅から送った。 → 54単位に40単位を上乗せし、片道94単位です。
人員配置で気をつけたいこと
看護職員や直接支援職員が欠勤した日に、同乗なしで送迎した場合、その片道の上乗せは算定できず、54単位のみになります。体制届を出しているからと、気づかないまま上乗せを算定し続けてしまうのが典型的な失敗です。
また、直接支援職員を送迎の同乗に回すと、その時間は事業所内の支援から抜けます。人員配置基準や児童指導員等加配加算の配置と重ならないか、シフトの段階で確認しておくと安心です。シフト表に同乗職員を明記し、欠勤日は上乗せなしに切り替えるという判断ルールを先に決めておくと、誤算定を防ぎやすくなります。
まとめ
- 片道単位で、基本は54単位。区分ロの事業所は重症心身障害児・医療的ケア児のみが対象
- 上乗せは届出と同乗職員がそろって初めて算定できる。同乗がない日は54単位のみ
- 同一敷地内・隣接地は、上乗せ後の合計の100分の70
- 本人が乗っていない移動、保護者による送迎は対象外
具体的な運用は指定権者によって異なる場合があります。事前に所管の指定権者へご確認ください。