専門的支援体制加算は、人員基準で必要な職員に加えて、理学療法士などの専門職を常勤換算で1人以上配置している事業所が、1日単位で算定できる加算です。算定要件のなかでも、保育士と児童指導員の「5年以上」の数え方が児童指導員等加配加算と異なり、ここで誤りが起きやすくなっています。

この記事は、令和8年度(2026年6月施行の改定を反映、2026年11月時点)の告示・通知に基づいています。要件・単位数・よくある間違いを順に整理します。

この加算の概要

  • 対象は児童発達支援と放課後等デイサービスです。居宅訪問型児童発達支援と保育所等訪問支援には、この加算はありません
  • 算定単位は1日につき。単位数は利用定員の規模で変わります
  • 都道府県知事への届出(体制届)が必要です
  • 専門職を置く「体制」を評価する加算です。専門職が個別に計画的な支援を行ったことを評価する専門的支援実施加算とは別の加算で、両方を算定できます

令和6年度改定で、旧専門的支援加算(専門職の配置を日額で評価)と旧特別支援加算(計画的な専門的支援を1回単位で評価)が再編され、「体制加算」と「実施加算」の2段階になりました。令和8年度の改定では、この加算の要件と単位数に変更はありません。

算定要件

告示と留意事項通知が求める要件は、次の4つです。

  1. 人員基準で必要な員数に加えて、理学療法士等を常勤換算で1人以上配置していること。児童指導員等加配加算も算定している場合は、その加算に必要な人員も含めたうえで、さらに加えて配置します
  2. 体制届を提出していること
  3. 通所支援計画(個別支援計画)を作成していないお子さんには算定しないこと
  4. 計画未作成による減算(児童発達支援は告示第1の1注3(2)、放課後等デイサービスは第3の1注4(2))を算定しているときは、加算しないこと

3と4は似ていますが、根拠が異なります。3は留意事項通知の「作成していない障害児については算定できない」、4は告示のただし書きです。

対象となる「理学療法士等」

職種 条件
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 資格があれば対象
保育士 保育士として5年以上、児童福祉事業に従事した者
児童指導員 児童指導員として5年以上、児童福祉事業に従事した者
心理担当職員 公認心理師など
視覚障害児支援担当職員 留意事項通知に定める養成課程・研修を修了した者

なお、認定地方公共団体の区域内などにある事業所では、地域限定保育士と国家戦略特別区域限定保育士も「保育士」に含まれます(告示 第1の1注8の括弧書き。対象地域は限られます)。

経験年数の数え方は加配加算と違う

ここが最大の注意点です。留意事項通知は、児童指導員等加配加算と比べて次の2点が異なると明記しています。

  • 資格取得または任用の後の経験に限る。 保育士なら保育士として、児童指導員なら児童指導員として従事した期間を数えます
  • 特別支援学校・特別支援学級・通級による指導での教育の経験は含まない。 一方、幼稚園での経験は含まれます(Q&A VOL.1 問15)

加配加算では、資格取得前の経験や教育の経験も数えられます。同じ職員でも、加配加算では「経験5年以上」に当たり、この加算では5年に届かないことがあります。

単位数(1日につき)

児童発達支援センター以外の児童発達支援事業所と、放課後等デイサービスは同じ単位数です(いずれも、主として重症心身障害児を通わせる事業所を除きます)。

利用定員 単位数
10人以下 123
11〜20人 82
21人以上 49

児童発達支援センターは7段階で、定員30人以下の41単位から81人以上の15単位まで下がります。主として重症心身障害児を通わせる事業所は、児童発達支援・放課後等デイサービスともに、定員5人で247単位、10人で123単位、11人以上で82単位です(中間の定員も段階的に定められています)。

令和8年6月1日以降に新規指定された事業所には、基本報酬を1000分の988(児童発達支援)または1000分の982(放課後等デイサービス)とする特例があります。告示上、この特例は基本報酬に掛かるもので、専門的支援体制加算の単位数は変わりません。

常勤換算と欠勤の扱い

  • 配置は常勤換算で1人以上です。非常勤の専門職を組み合わせてもかまいません
  • 児童発達支援と放課後等デイサービスを一体的に行う多機能型事業所では、両方の勤務時間を合計して所定の時間に達していれば、常勤換算の要件を満たします
  • 常勤で配置している専門職が病気で欠勤したり、有給休暇を取ったりしても、配置要件は満たしたままです。ただし、欠勤などが1か月以上続く場合は満たさなくなります(Q&A VOL.1 問14)

届出のタイミング

  • 届出が毎月15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定を始められます
  • 退職などで常勤換算1.0を割ったときは、速やかに届け出ます。要件を満たさなくなった日から算定できず、届け出ずに請求すると不正請求として返還の対象になります
  • 届出様式の書き方、経験年数を確認する書類、常勤換算の計算資料の求め方は、指定権者によって異なります。届出前に所管の指定権者へ確認してください

よくある間違い5つ

  1. 特別支援学校などでの教育経験を含めて「5年以上」としている。 この加算では含められません
  2. 資格を取る前の勤務期間を通算している。 保育士・児童指導員は、資格取得または任用の後の経験に限られます
  3. 加配加算で加配している職員を、この加算の専門職としても数えている。 両方を算定するには、それぞれ別に人員が必要です
  4. 週に数時間の非常勤の専門職だけで届け出て、常勤換算1.0に届いていない。
  5. 個別支援計画が未作成のお子さんにも算定している。

事例で確認

事例1 保育士資格を取得した後、児童発達支援事業所で6年勤務してきた保育士を、基準人員とは別に常勤で配置した。 → 保育士として5年以上児童福祉事業に従事しているので、理学療法士等に当たり、算定できます。

事例2 特別支援学校の教員を5年務めた後、児童指導員として放課後等デイサービスで1年勤務している職員を配置した。 → この加算の経験年数に教育経験は含まれないため、理学療法士等に当たりません。加配加算であれば、教育経験を算入できます。

事例3 作業療法士(週20時間)と言語聴覚士(週20時間)を配置している。事業所の常勤の勤務時間は週40時間。 → 合計で常勤換算1.0となり、算定できます。どちらかが退職した時点で1.0を割り、その日から算定できなくなります。

収入の目安(例示)

あくまで例示の試算です。定員10人の放課後等デイサービスで、月の延べ利用が180人日(月20日×平均9人)、全員に個別支援計画がある場合、1単位10円で計算すると次のとおりです。

  • 123単位 × 180人日 × 10円 = 月221,400円

実際の1単位の単価は地域区分によって異なり、10円から、上限は児童発達支援(センター以外)・放課後等デイサービスで11.20円、児童発達支援センターで11.24円、主として重症心身障害児を通わせる事業所で11.52円です。

採用の判断では、この金額を専門職の人件費と並べて見ることになります。専門的支援実施加算を併せて算定するか、支援の質や利用ニーズへの対応まで含めて検討します。専門職の採用が難しい場合は、資格取得後5年以上児童福祉事業に従事した保育士・児童指導員が在籍していないか、まず確認する方法もあります。

まとめ

  • 基準人員(加配加算を算定するならその人員も含む)に加えて、理学療法士等を常勤換算1人以上
  • 保育士・児童指導員の5年は、資格取得・任用後の児童福祉事業の経験。教育経験は数えない
  • 単位数は定員10人以下で123単位。個別支援計画のないお子さんには算定しない
  • 1.0を割ったら速やかに届け出る。欠勤が1か月以上続くときも同じ

届出様式や確認書類の求め方は、指定権者によって運用が異なります。事前に所管の指定権者へご確認ください。