児童指導員等加配加算は、人員基準で必要な職員に加えて、児童指導員等またはその他の従業者を1人以上配置している事業所が、1日単位で算定できる加算です。対象は児童発達支援と放課後等デイサービスです。
単位数は「職員の経験年数」「配置形態」「利用定員」の組み合わせで細かく分かれます。常勤換算の考え方や専従の要件で誤りが起きやすく、運営指導で返還につながることもある加算です。この記事では、要件・単位数・よくある間違いを順に整理します。
この加算の目的
常時見守りが必要なお子さんへの支援や、ご家族への関わり方の助言など、支援の強化を図るための加算です。報酬告示では、算定に必要な従業者の員数に「加え」て1人以上を配置することが要件とされています。
- 算定単位は1日につき。単位数は利用定員の規模で変わります
- 都道府県知事への届出(体制届)が必要です
- 専門的支援体制加算と同時に算定できます。ただし、両方の加算の人員を別々に確保したうえで、さらに基準人員も満たしている必要があります
令和6年度改定で何が変わったか
改定前は「理学療法士等」「児童指導員等」「その他の従業者」という職種による3区分でした。令和6年度からは、専門職による支援の評価は新設の専門的支援体制加算に移りました。加配加算は、経験年数(5年以上か未満か)と配置形態(常勤専従か常勤換算か)の組み合わせで評価する仕組みに再編されています。
なお、令和8年度の改正では、この加算に変更はありません。
算定要件と5つの配置区分
算定要件は次の3つです。
- 人員基準で必要な員数に加えて、1人以上を配置していること(専門的支援体制加算を算定している場合は、その人員も含めたうえで、さらに加えて配置する)
- 体制届を提出していること
- 加配された職員が、サービス提供時間帯を通じて事業所で直接支援にあたること(留意事項通知で「基本」とされています)
配置の区分は次の5つです。
| 区分 | 配置する職員 | 配置形態 |
|---|---|---|
| ① | 経験5年以上の児童指導員等 | 常勤・専従 |
| ② | 児童指導員等(①以外) | 常勤・専従 |
| ③ | 経験5年以上の児童指導員等 | 常勤換算1人以上 |
| ④ | 児童指導員等(③以外) | 常勤換算1人以上 |
| ⑤ | その他の従業者 | 常勤換算1人以上 |
「児童指導員等」に含まれる職種
児童指導員、保育士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、手話通訳士、手話通訳者、特別支援学校免許取得者に加えて、公認心理師などの心理担当職員、視覚障害児支援担当職員、強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)の修了者が含まれます。
経験年数の数え方
- 児童福祉法に規定された事業に従事した経験のほか、幼稚園、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導での教育の経験も含みます(Q&A VOL.1 問12)
- 資格を取得する前や、その職種として配置される前の経験も数えられます
- 雇用形態や1日の勤務時間は問いませんが、1年あたり180日以上の勤務を想定しています(Q&A VOL.1 問13)
- 経験の確認は実務経験証明書が基本です。廃業などで取得できない場合は、雇用契約書や給与明細書などで確認することも認められています(Q&A VOL.1 問11)
単位数(1日につき)
児童発達支援センター以外の児童発達支援事業所と放課後等デイサービスは、同じ単位数です(いずれも、主として重症心身障害児を通わせる事業所を除きます)。
| 区分 | 定員10人以下 | 定員11〜20人 | 定員21人以上 |
|---|---|---|---|
| ① 経験5年以上・常勤専従 | 187 | 125 | 75 |
| ② 常勤専従 | 152 | 101 | 59 |
| ③ 経験5年以上・常勤換算 | 123 | 82 | 49 |
| ④ 常勤換算 | 107 | 71 | 43 |
| ⑤ その他の従業者 | 90 | 60 | 36 |
同じ1人を加配する場合でも、定員10人以下では区分①と区分⑤で1日に約100単位の差があります。誰をどの形態で配置するかが、収入に大きく影響します。
児童発達支援センターと、主として重症心身障害児を通わせる事業所は、別の単位数表です。たとえば区分①では、センターは定員30人以下で62単位、重症心身障害児の事業所は定員5人で374単位です。中間の定員区分は段階的に定められているので、自事業所の定員に対応する単位数を告示の表で確かめてください。
常勤専従と常勤換算のルール
区分①②(常勤専従)
専従の要件は厳格です。
- 管理者と児童指導員を兼務している職員は、専従を満たしません(Q&A VOL.3 問6)
- 児童発達支援と放課後等デイサービスを一体的に行う多機能型事業所で、両事業を通じて加配として配置されている同一の職員は、専従の要件を満たします(Q&A VOL.3 問5)
- 保育所等訪問支援や居宅訪問型児童発達支援などの訪問系の事業、生活介護などの障害福祉サービスと兼務する場合は、専従とは認められません
区分③④⑤(常勤換算)
常勤換算で1人以上を配置します。複数の職員や異なる職種を組み合わせてもかまいません。ただし、区分の異なる職員を組み合わせた場合は、低い方の区分で算定します。経験5年以上の児童指導員等とその他の従業者を組み合わせたら、区分⑤の単位数です。
常勤の職員の病気欠勤や有給休暇は、配置要件を満たしたままとされます。ただし、欠勤が1か月以上続く場合は要件を満たさなくなります(Q&A VOL.5 問3)。
届出のタイミングと記録
- 単位数が増える届出は、毎月15日以前に提出すれば翌月から、16日以降なら翌々月から算定を始められます
- 退職などで加配の体制がなくなったときは、速やかに届け出ます。要件を満たさなくなった日から算定できず、届け出ずに請求を続けると返還の対象になります
- 区分①③(経験5年以上)で算定する場合は、実務経験の確認書類を整えて保管しておきます
- 運営指導では、勤務表や常勤換算の計算資料から「基準人員を満たしたうえで、さらに1人以上が加配されていたか」が確認されます。誰が基準人員で誰が加配かを、勤務表で説明できるようにしておくと安心です
よくある間違い5つ
- 基準人員として数えている職員を、加配としても数えている。 基準に加えた配置が要件なので、二重には数えられません
- 管理者や児童発達支援管理責任者と兼務している職員で、常勤専従の区分を算定している。 専従を満たしません
- 常勤換算で組み合わせているのに、高い方の区分で算定している。 正しくは低い方の区分です
- 加配職員が送迎や事務作業ばかりで、直接支援にあたっていない。 事務作業などのみを行う状況は想定されていないと、Q&Aで示されています(VOL.1 問10)
- 経験5年以上の区分で算定しているのに、経験を証明する書類がない。
いずれも運営指導で指摘され、返還につながりやすいポイントです。
事例で確認
事例1 定員10人の放課後等デイサービス。基準人員2人とは別に、児童福祉事業の経験が7年ある保育士を常勤専従で加配した。 → 区分①に当たり、1日187単位です。
事例2 経験6年の常勤の児童指導員を加配したが、この職員は管理者を兼務している。 → 専従を満たさないため、常勤専従の区分(①②)では算定できません。
事例3 経験5年以上の保育士(常勤換算0.5)と、資格のない従業者(常勤換算0.5)で合計1.0を配置した。 → 合計で1人以上なので算定はできますが、区分は低い方の⑤となり、定員10人以下なら90単位です。
収入の目安(例示)
あくまで例示の試算です。定員10人、月22日営業、平均利用率90%(延べ198人日)、1単位10円とすると、次のようになります。
- 区分①(187単位):187単位 × 198人日 × 10円 = 月およそ37万円
- 区分⑤(90単位):90単位 × 198人日 × 10円 = 月およそ17.8万円
実際の1単位の単価は地域区分によって10円から11.2円程度の幅があります。常勤1人の人件費と比べると、区分によって収支の見え方が大きく変わります。経験5年以上の区分は実務経験証明書の取得に時間がかかるため、内定の段階で依頼を始めておくと、届出の期限に間に合わせやすくなります。
まとめ
- 基準人員に加えて1人以上を配置し、体制届を出してから算定する
- 区分は経験年数×配置形態の5つ。組み合わせ配置は低い方の区分になる
- 専従は厳格で、管理者との兼務は認められない
- 体制がなくなったら速やかに届け出る。勤務表で基準人員と加配を区別して残す
記録の作り方の細部は一次資料に定めがなく、指定権者によって求められ方が異なります。事前に所管の指定権者へご確認ください。