福祉専門職員配置等加算は、社会福祉士などの資格を持つ職員や、常勤の職員、勤続年数の長い職員を一定の割合以上配置している事業所を評価する加算です。算定要件は「割合」で決まるため、誰を分母に入れ、誰を分子に入れるかで結果が変わります。
この記事は、令和8年度(2026年6月施行の改定を反映、2026年11月時点)の告示・通知に基づいています。3つの区分の要件、割合の計算方法、よくある間違いを順に整理します。
この加算の概要
- 対象は児童発達支援(児童発達支援センターを含む)と放課後等デイサービスです。共生型の事業所も対象です。居宅訪問型児童発達支援と保育所等訪問支援には、この加算はありません
- 算定単位は1日につき。利用したお子さん全員に算定します
- 都道府県知事への届出(体制届)が必要です
- 区分は(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の3つで、算定するのはいずれか1つです。(Ⅰ)を算定していれば(Ⅱ)は算定せず、(Ⅰ)か(Ⅱ)を算定していれば(Ⅲ)は算定しません
令和8年度の改定で、この加算の要件と単位数に変更はありません。令和8年6月1日以降に新規指定された事業所には基本報酬を引き下げる特例がありますが、告示上は基本報酬に掛かるもので、この加算の単位数は変わりません。
区分と単位数(1日につき)
| 区分 | 単位数 | 要件 |
|---|---|---|
| (Ⅰ) | 15 | 常勤の児童指導員のうち、4資格のいずれかを持つ者が35%以上 |
| (Ⅱ) | 10 | 同じ計算で25%以上 |
| (Ⅲ) | 6 | 常勤の割合が75%以上、または勤続3年以上の者が30%以上 |
4資格とは、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師です。保育士や幼稚園教諭の資格は含まれません。
(Ⅰ)(Ⅱ)の割合の計算
- 分母:人員基準により置くべき児童指導員として、常勤で配置されている従業者(共生型の事業所は、基準により置くべき共生型の従業者)
- 分子:分母のうち、4資格のいずれかを持つ者
「常勤」は、正規雇用か非正規雇用かを問わず、事業所で定める常勤の勤務時間数に達している従業者を指します(留意事項通知⑨(一))。フルタイムで働くパート職員も常勤に数えます。非常勤の職員は、資格があっても分母にも分子にも入りません。
告示と通知の文言の違い
ここは注意が必要です。告示は分母を「児童指導員として常勤で配置されている従業者」と書いています。一方、留意事項通知は「直接処遇職員として常勤で配置されている従業者の総数」と書いています。
告示の文言では、保育士として配置されている職員は分母に入りません。通知の「直接処遇職員」に保育士が含まれるかどうかは、通知の文面だけでは確定できません。保育士を入れるかどうかで、割合が変わることがあります。一次資料だけでは確定できないので、保育士を分母に含めるかどうかは、届出前に指定権者へ確認してください。
同じ理由で、管理者や児童発達支援管理責任者として勤務している有資格者を数えるかどうかも、告示の文言上は「児童指導員として」の配置ではないため入らないと読めますが、明文の除外規定はありません。あわせて確認しておくと手戻りを防げます。
(Ⅲ)の2つのルート
どちらか一方を満たせば算定できます。
- 常勤割合ルート:児童指導員または保育士として配置されている従業者の総数(常勤換算)のうち、常勤で配置されている者の割合が75%以上
- 勤続年数ルート:児童指導員または保育士として常勤で配置されている従業者のうち、3年以上従事している者の割合が30%以上
(Ⅰ)(Ⅱ)と違い、告示の文言でも保育士が対象に入ります。区分によって数える職員の範囲が変わる点に注意してください。
勤続3年の数え方
- 判定の時点は、加算を申請する前月の末日です
- 今の事業所での勤続年数に、同一法人が経営する他の障害児通所支援事業、障害児入所施設、障害福祉サービス事業、病院、社会福祉施設などで、利用者に直接サービスを提供する職員として勤務した年数を加えられます
- 非常勤で勤務していた期間も含めます
自事業所の在籍年数だけで判定すると、本来満たしている(Ⅲ)を取り逃がすことがあります。職員の職歴は法人単位で確認します。
多機能型事業所の扱い
児童発達支援と放課後等デイサービスを一体的に行う多機能型事業所では、事業所のすべてのサービス種別の直接処遇職員を合わせて要件を計算します。要件を満たせば、すべての障害児に対して算定します。サービスごとに別々に計算するのではありません。
届出と体制の変動
- 届出が毎月15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定を始められます
- 退職や雇用形態の変更で割合を下回ったときは、速やかに届け出ます。下回った日から算定できず、届け出ずに請求すると不正請求として返還の対象になります
- この加算に関する問答は、令和6年度・令和8年度のQ&Aにはありません。計算の細部(月途中の入退職の扱い、計算資料の様式など)は指定権者によって運用が異なります
よくある間違い5つ
- 非常勤の有資格者を、(Ⅰ)(Ⅱ)の分母・分子に入れている。 常勤の者だけで計算します
- 保育士資格や幼稚園教諭免許を4資格と取り違えている。
- (Ⅰ)(Ⅱ)の分母に保育士を入れるかどうかを確認しないまま届け出ている。 告示と通知で文言が異なります
- 勤続年数を自事業所の在籍期間だけで数え、(Ⅲ)を取り逃がしている。
- 有資格者の退職で割合を下回ったのに、算定を続けている。
事例で確認
事例1 常勤の児童指導員が4人。そのうち1人が社会福祉士、1人が介護福祉士。 → 4人中2人で50%。35%以上なので、(Ⅰ)の15単位です。
事例2 事例1の事業所で、社会福祉士の職員が退職した。 → 3人中1人で約33%。35%を下回り、25%以上なので(Ⅱ)の10単位に下がります。区分が変わるので、速やかに届け出ます。
事例3 児童指導員と保育士の常勤換算の総数が8.0人で、そのうち常勤で配置されている職員が6人。 → 6÷8.0で75%。(Ⅲ)の常勤割合ルートを満たし、6単位です。
収入の目安(例示)
あくまで例示の試算です。月の延べ利用が180人日(月20日×平均9人)の事業所で、1単位10円とすると次のとおりです。
- (Ⅰ) 15単位 × 180人日 × 10円 = 月27,000円
- (Ⅱ) 10単位 × 180人日 × 10円 = 月18,000円
- (Ⅲ) 6単位 × 180人日 × 10円 = 月10,800円
実際の1単位の単価は地域区分によって異なり、10円から、上限は児童発達支援(センター以外)・放課後等デイサービスで11.20円、児童発達支援センターで11.24円、主として重症心身障害児を通わせる事業所で11.52円です。
単位数は小さい加算ですが、利用したお子さん全員に毎日算定されます。新たな採用を考える前に、まず在籍職員の資格と、同一法人内での職歴を一覧にしてみると、今の体制のままで満たせる区分が見つかることがあります。35%や75%をわずかに超えるだけの体制では、1人の退職で区分が下がるため、余裕を見て届け出る区分を選びます。
まとめ
- (Ⅰ)15単位・(Ⅱ)10単位・(Ⅲ)6単位。算定するのは1区分だけ
- (Ⅰ)(Ⅱ)は常勤の児童指導員に占める4資格保有者の割合。保育士を分母に入れるかは指定権者に確認
- (Ⅲ)は常勤割合75%以上か、勤続3年以上30%以上。勤続は同一法人の他事業や非常勤期間も通算
- 多機能型は全サービスの直接処遇職員を合わせて計算
- 割合を下回ったら速やかに届け出る
分母の範囲や計算資料の求め方は、指定権者によって運用が異なります。事前に所管の指定権者へご確認ください。